第2話:夜中にこっそり...
 

最近、『眠り続けるにも体力が要る』という言葉を実感し始めている。体育の日にディズニーシーに行って疲労困憊し、帰宅早々9時半に就寝して以来、深夜3時前には目が醒めるようになってしまった。かくしてランチの後、事務所のソファで小一時間昼寝し、帰宅後また10時前には眠くなる、というヘンなサイクルが始まってしまった。 

連休明けからずっと午前4時出社である。とはいえ、早朝の裏道で新聞配達の兄ちゃんたちと鉢合わせしそうになりながらこんな時間に出社しても、やる事と云えばもっぱらバイクのパーツ磨きだったりする(事務所と云うより工場[こうば]だね)。 

折を見てはヤフオクで落札しているパーツ類。その殆どは、ボクの1986年製 GB が故障した時のための「補修用」である。が、「外装カスタム系」のパーツも、気がつけば大きめの段ボール2箱に溢れている。一昨日、やっとギプスも取れたし(勝手に外しただけだが)、そろそろ本格的にイジることにしよう。 

なにしろ5月に中免を取ったばかりの「にわかライダー」である。工具はひと揃い用意したものの、それらを本格的に使用したのは、実は先日の事故が初めてだったりする。だいたい、カチャカチャやる「場所」がない(みんなどうしてるんだろ?)。自宅はごくフツーのマンションなので、共同の駐車場付近で工具やらパーツやらをばらばらと広げるわけにはいかぬ。事務所の駐輪場もまぁ条件は似たようなものだが、こちらは建物裏手の目立たな〜い場所にあるのを良いことに、夏のあいだ何度か修理時に使わせて貰った。が、ココはココで狭い上に蚊やらブヨやらトカゲやらカマキリやら芋虫やら猫やら、色々とやって来ては刺したり這ったり小便をひっかけたりする。 ...というか、ここ最近、もはや昆虫の類など出没しないくらい寒いし!。 

そこで思いついたのが、「いっそ事務所に入れちゃえ」というアイデアである。賃貸契約条項に抵触するかどうか知らないが、とりあえずは内緒。内緒なのでこっそりとコトを進めなければならない。こっそりとコトを進めるのはやはり深夜だ。 というわけで、変則睡眠サイクル3日目にあたる本日夜半、決行することに決めた。 

うちの事務所はコンクリ打ちっ放し系マンションの、1階+地下1階のメゾネットだ。なにしろ建物全体が「見た目」を優先した作りになっているので、こういう内緒の仕事を行うにはなにかと取り回しが悪い。助っ人が必要だ。ちょうどうまい具合に今夜はトーキチが何やら制作中のはずだ。思いつきで行動しているので事前の打ち合わせはなし。突然バイクで乗り付けてヘルプを頼む。こういう時にテキパキ動いてくれる若者がいるとたいへん助かります。

デフォルトでセパハン仕様の愛車はハンドルの切れ角が狭く、廊下の角を曲がるのも一苦労。が、玄関前まではなんとか大きな物音を立てることもなく到着。さて。玄関ドアを思い切り開け放してフロントを突っ込む。...が、廊下の幅が足りず、回り込めない。何度切り返しても無理。う〜む...。結局、トーキチと二人、バイクを挟んで両側からエイヤと持ち上げて方向転換。難局をクリアする。 

あとは玄関から室内までの廊下を抜ければミッションが完了する。廊下は幅が700mm。我がGBの車幅はサービスマニュアル掲載値で680mm。なんとかなるはず。ところが、左右のミラーが壁にあたり通れないのだった。いや、そんなものはボルトをゆるめてミラーを抜いてしまえば済む話なのだが、ボルトをゆるめる為に必要なスパナがない。工具箱はすぐそこに見えているのだが、そこへ至るための通路がバイクで埋まっているため、コイツを乗り越えるか(どうやって?)今来た道を引き返しバイクを廊下に出すか?しないと辿り着けない。 
どちらも面倒なので、トーキチにバイクと壁の狭間を(強引に)抜けてもらった。 

かくして事務所のリビングに鎮座した非日常。これがなんだか想像していたよりもイイ感じなのだ。もともと、その「カタチ」を気に入って、探し出したGBである。それがこうして、振り向けば目に入るところにあるという新たな現実が悪いワケがない。自宅といわず事務所といわず、日常を過ごすスペースはやはり好きなモノで埋まっているに限るよね。
2005年 10月 13日 木曜日