第1話:左足首の靱帯が切れた...
 

転倒して左足首の靱帯を切った。。。 

9月のある晴れた朝。出社途中の通い慣れた裏道。事務所まであと500mくらい。善福寺公園脇の細い路地を左折したら、目の前にオバちゃんの運転する白い軽自動車がいた。よけるのが精一杯だった。 
ガッシャーンと派手な音がして、気がついたら転倒していた。思い切り道路に打ち付けられる瞬間、自分の霊体(?)が身体からズレた感触があった。 
オバちゃんの軽はキキッ!とブレーキを軋ませ一瞬スピードを落としたものの、そのまま倒れたオレとバイクを迂回して、猛スピードで去っていく。 

「あれ?行っちゃうんだ!」 

というのが、その時の正直な感想。怒りはない。呆れただけだ。 左半身がとても痛い。バイクは2mほど先に倒れ、ホーンが鳴りっぱなしだ。タンクからはガソリンが漏れている。ヤバい。けど動けない。そこへ犬の散歩中らしい、別のオバちゃんがゆるゆる近づいて来た。痛みで動けないボクを見下ろして、けだるそうな声でこう云った。 

「行っちゃったわよ、あのクルマ?」 

ああ、ああ、そうですね。でも、いや、そんなことより。すみません、バイクのエンジンを切ってもらえませんか?倒れたまま、そう頼んでみた。 

「あたしね。...機械のこと、よくわからないのよ」 

そう云うと、犬の散歩オバちゃんは近寄ってきた時と同じように、ゆるゆると歩き去っていく。 

「あれ?あれ?アンタも行っちゃうんだ?」 

ひん曲がったシフトペダルをゲンコツでぶん殴って1速に入れ、なんとか自力で事務所まで走り着く。事務所には徹夜でデザイン作業を続けていたトーキチがいた。なぜか少しだけ元気になる。 
さて、修理だ。こういう時のため... ではなかったのだが、ヤフオクでこまめに補修部品を落札していた(我がGBは旧車なので、市場には新品部品がない)。 ラチェットレンチ、ソケット、スパナなどツール類と、サイドスタンド、シフトペダル他のパーツをかき集め、さっそく修理に取り掛かる。奮闘3時間。バイクは綺麗に蘇った。楽勝楽勝。

「お〜い、トーキチ!昼飯喰いに行こ」 と、気分良く声をかけてヨイショと立ち上がると、グラッと上体が傾いた。左足が死んでる。こっちは3時間では直りそうもないな...。 

と、ため息をついてから、すでに3週間以上。未だにギプスなしでは歩けない。不自由きわまりない。傷つけて初めて知る靱帯の大切さ。なによりも、大好きな金木犀の香りが漂う絶好の季節に、バイクに乗れないのがとても悲しい。
2005年 10月 07日 金曜日